1)賃金引き上げの要求
イ.春闘交渉
労働組合の任務は労働力をできるだけ高く売ること、すなわち賃金をいかに高くするかであります。年齢が高くなれば生活費も必然的に多くなりますし、年々物価も上昇します。それを補填し、さらに豊かな生活を送るため、毎年春に賃上げ要求を行っています。そしてこの取り組みは毎年春に行われることから「春闘」と呼ばれているのです。
今日では日本のほとんどの組合が取り組み、組織労働者総掛かりの盛大な統一闘争に発展しております。
ロ.一時金闘争
労働条件の中で、毎月の給料と同じくらい大切な「一時金」があります。別名「ボーナス」という名で親しまれていますが、会社はこれを「賞与」と名付けています。というのも、一時金は会社の恩恵的な制度との考え方をもっているからです。しかし、現実は年間収入に占める割合も高く、すでに賃金の一部となっており、組合から支給額や配分について要求しています。要求は、原則として半期の会社業績によって一時金の原資を確定する業績連動算定方式としていますが、会社業績によっては協議形式に移行する場合もあります。
2)労働条件改善の要求(労働協約闘争)
労働協約は、会社で安心して働いていくための私たちの労働条件をこと細かく決めた、いわば職場の憲法のようなものです。この協約をできるだけ労働者に有利な条件で取り決めることが、すなわち私たちの労働条件を向上することにつながります。
イ.労働時間短縮(時短)、休暇増加など
労働力をいくらで売るという約束をしたからといって、どんな条件の下で働かされてもよいということではありません。1日の労働時間は何時間で、休憩時間は何時間とるといった、労働時間の取り決めや、休暇の取り決めも必要です。
ロ.労働権の確保
労働者は会社に雇われていますが、労働者の生活の安定のためには、労働する権利や身分を安定し確保しなければなりません。経営者が会社の都合だけで一方的に工場閉鎖や首切りをされてはたまりません。そこで労働組合は、不当な合理化、配置転換や解雇に反対するとともに、これらの問題がでてくる根本原因である会社の経営政策に対しても発言し、労働条件に影響するような経営政策は組合の了解なしには行わないという事前協議制を要求していきます。そうした活動を通じて経営の民主化をはかり、労働者の地位を高めるために活動しています。
3)政治活動
会社内においては賃金引き上げなど労働条件の向上をしても、地域社会において環境や生活条件がよくならなければ全体によくなりません。たとえば私たちの生活の基礎となる賃金にしても、毎年春の賃金闘争で物価上昇率を上回る賃上げを獲得しても、税金、社会保険などが増加すれば、私たちの手元に残るお金(可処分所得)は一向に増えません。結果として、物価上昇分すら増えないということになります。これでは、私たちの生活向上は望めません。そこで政治課題解決のため、関連団体(電機連合)と協力し、国や地方自治体へ組合員の声をつたえる各種議員選出の活動にも取り組んでいます。
4)相互扶助の活動
労働組合の活動は、実質的に生活を改善するための相互扶助活動も行っています。病気や死亡、災害の見舞金などの制度や、任意加入による全労済の火災共済や交通災害共済など、万一の場合には補償が受けられる共済制度などにも取り組んでいます。
5)職場を明るく快適にする活動
私たちは、毎日職場で働いていますが、いろいろの悩みや不満があると思います。この悩みや不安を解決し、明るい職場作りが必要です。各職場には組合員の中から選ばれた代議員、職場委員がいます。
その重要な活動として日常の世話役活動があり、みなさんの悩みや苦情を聞き、職場の責任者と相談し解決に努めています。ですからどんな小さなことでも、言っても仕方がないと思わずに相談してください。
生き甲斐のある職場作りをするためにも、進んで悩みや不満を取り除く努力をしましょう。
6)あなたの要求を組合へ
労働組合の目的は、団結した組織によって、労働者の生活を向上させることにあります。労働者の生活の改善向上のためには、労使間交渉による労働条件の引き上げ、政治活動を通じて社会的な制度、政策課題の解決、労働者の相互扶助による共済制度の拡充などによって行います。そのためには、あなたが持つ不満、悩みなどの問題を職場集会や対話を通じて出し合い、みんなで活発に討論しあって、みんなの意見としてまとめることが大切です。