1)労働組合の誕生
労働組合が発生しだしたのは、18世紀の産業革命(イギリス)当時にさかのぼります。
産業革命というのは、従来の手工業(道具による生産)から機械工業(動力機械による生産)への発展のことで、これはワットの蒸気機関の発明によって拍車がかけられ、紡績業から重工業へと発展してきました。
手工業時代に生産用具をもっていた職人たちは、機械工具に発展したことによって、生産用具を持たない労働者に転化して、資本家に従属し、生産向上のために一時的に多くの失業者が発生しました。そのような状況ですから、労働者は働きたいが為に、安い賃金でガマンして職に就いたり、くびを切られるのがこわいため長時間の労働にも耐えていました。安い賃金でできるだけ長く機械を動かそうとする資本家たちの姿勢は、労働者に悲惨な生活をしいることになりました。
この当時の労働者は「労働組合」という言葉さえ知らなかったのですが、このような劣悪な労働条件の下で「おれたちだって同じ人間だ。せめて人間らしい生活がしたい」という気持ちから、次第に団結するようになったのです。これが労働組合の始まりです。
2)日本の労働組合
労働組合が今日のように公然と認められるまでには、世界のどこの国でも数多くの犠牲が払われました。それは労働者の団結を嫌がる資本家が、権力者を利用したりして弾圧を加えたからです。労働組合は、厳しい弾圧のもとで幾度もつぶされましたが、されでも労働者はあくなき戦いを続け、今日のような姿にまで発展してきたのです。
日本でも終戦(第二次世界大戦)までは、労働組合は認められませんでした。それまでにも幾度か労働組合の結成がはかられましたが、そのたびに政府によって弾圧されてきました。しかし、敗戦と同時にその様相を一変することになりました。当時、日本を占領していたアメリカは、再び日本を軍国主義国家に復活させないために、広く民主化政策を実施しました。その中心が労働組合育成政策で、日本中の会社に続々と全員加入の組合が作られていきました。
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