2.労働組合とはなにか

1)あなたも私も労働者
あなたは大真空という「会社」に入社し、すでに何度か給料(賃金)を受け取ったことと思いますが、私たちは会社に勤め、働いた報酬として賃金を受け取っています。このような人のことを労働者と呼んでいます。一口に労働者といってもその内容はさまざまです。工場や現場で働く人、本社や事務所で働く人など、また学校の先生や市町村の役場で働く公務員など、みんな労働者といわれる人たちです。
 
ところで、いま日本にどれだけの労働者がいると思いますか。
日本の総人口は1億2,691万人(2015年3月1日現在)ですが、このうち就業者数は6,322万人ほどで、その中の5,595万人が雇用労働者です。この数字をみても「働く者こそ、社会をささえる主人公」といえます。そして、そのうち984万人余りの労働者が後で述べる理由で「労働組合」をつくり、それに加わっています。


2)あなたも大真空の組合員
大真空に働く私たち労働者も、労働組合を結成しており、正規従業員であるあなたも組合に加入したのです。
みなさんが入社して、試用期間が終わり正社員に登用されると同時に組合員になったのは「ユニオンショップ」という制度があるからです。(※1)
これは「会社の従業員は組合員でなければならない」という労働協約(労働組合と会社の間で決められた約束ごと-別頁で説明)での決まり事によるものです。
これであなたが労働者であり、大真空労働組合の一員(組合員)であることがわかったと思います。

(※1) 勤務限定社員についてはオープンショップ制とし、加入届を提出した方が加入されます。2016年8月20日 第35回定期代議員大会において議案提起され、批准投票によって承認されました。
 ユニオンハンドブック 【規約】第6条 組合員の資格および範囲 参照

3)労働者一人ひとりでは弱いのです
私たちは大真空の使用者(経営者)に雇われ、仕事をする(労働力を売る)ことによって給料を得、生活をしています。
この場合、私たちが経営者に売る労働力というのは、リンゴとか洋服とかいった品物と違い、一日たりとも「売り惜しみ」をして蓄えておくことができない性格のものです。ですから少しでも高い値段(高い賃金)で労働力を売りたいと思っても、満足のいかない条件で働かざるを得ない場合が少なくありません。
一方、企業(会社)は製品を作り、売ることにより利益をあげ、さらに大きな会社に発展させようと努力しています。
各企業はお互いに激しい競争をしています。もし、この競争に敗れば、その企業は倒産するか、ほかの企業に吸収合併されてしまいます。そのために、企業は資本(お金)をもとに最新の設備や機械を導入し、労働者を雇ってより効率的な経営をしようとします。そこで賃金や労働条件などで、使用者と労働者とではやり方についての考え方が食い違うこともおきます。


4)みんながまとまり大きな力に
今かりに、みんなが自分の賃金のことで不満があるとしましょう。あなたならどうしますか。上役をつかまえて、一人敢然とその不満を訴え、それを直してくれるよう交渉しますか。これは大変勇気のいることであり、たとえ勇気をだして「私の賃金はどうも安すぎる。上げてください。」といってもおそらく、ていよく断られた上「なんて生意気なやつなんだ」とにらまれ、場合によっては「そんなに不満なら、ここをやめてもいいんだよ」といわれてもそれまでです。反対に、自分だけ上役に認められ、仲間より高い賃金を取ろうか、早くえらくなろうと"ゴマ"をすったらどうでしょうか。あなただけなら認められることがあるかもしれませんが、みんながおこなえば、労働者同士がお互い競争しあうことになり、労働力の安売りをすることになります。
こうしてみると、労働者一人ひとりは非常に弱い存在であることがおわかりでしょう。お互いにバラバラでいたのでは、なに一つ労働条件をよくすることは困難です。そこで、労働者は、みんなでまとまって経営者と話合うようになりました。
労働者のまとまり(組織)である労働組合は、このような理由から生まれたものです。


5)労働組合は労働者を守る砦です。
労働組合を一口に説明すると「労働者の利益を守り、生活を向上させ、社会的地位を高めること」」を目的としてつくられた労働者の組織です。あなたは自分の「給料がいくら」で「休暇は何日」という労働条件を知っていると思いますが、ところでこれらの労働条件はどのようにして決まるのでしょうか。
週休二日制や諸休暇などの労働条件は、労働組合が会社に要求して交渉し改善してきたものです。また、あなたが毎月、生活のカテとして受け取る賃金、一般的にボーナスといわれる一時金、休日や有給休暇などを取り決めた労働協約など、労働組合はこれらの労働条件をよくするために努力しています。


6)労働組合の生命は団結!
労働組合の基本的な任務は、"労働条件の維持、改善をはかる"ことを目的としていることは前にも述べたとおりです。
会社と交渉する場合、交渉委員(役員)がいくら強く主張しても、この背後にいる組合員がバラバラでまとまりがなければ、この主張は弱いものになってしまい、会社は応じてきません。すなわち組合員が一つにまとまり、力強い団結があってこそ、労使が対等になります。この団結した力を背景にして、経営者との交渉に臨めば、成果のある回答が期待できます。


7)労働三権は労働者の宝
現在は、労働者の立場を保護するために、日本国憲法で労働者の権利を保障しています。
労働者が団結し労働組合を結成する権利(団結権)、使用者対して労働条件の向上を要求し、対等に交渉する権利(団体交渉権団体交渉権)、団体交渉が行き詰まり、使用者に譲歩を求めてストライキなどを行う権利(団体行動権)、この三つが労働三権です。
この憲法の定めから「労働組合法」「労働基準法」「労働関係調整法」の労働三法や、その他の多くの労働法で具体的に労働者を守っています。なお、労働三権、とくにストライキが労働者の権利だからといって、安易にこれをもてあそぶことは、組合にとって危険です。
次のことを十分に考えなければなりません。
第一に、労使関係は配分面では対立していますが、労働組合は相手を否定するのではなく、交渉する相手として認めているのです。交渉とは妥協点を見いだすことを前提にしているのですから、感情的にストライキを行うことはあやまりで、冷静に判断すべきです。
第二に、ストはあくまで要求を実現するための戦術です。目的と手段を取り違えて、ストだけを至上と考えることは間違いです。
第三に、ストは経営者にとって打撃ですが、私たちも賃金が入らず困るわけで、いわば労使のガマン比べです。ですから、もしストを行う場合には慎重な配慮と十分な組織的、財政的な準備を日常の取り組みとして行うことが必要です。


8)労働協約は職場の憲法
平和的な交渉による場合か、労働争議という方法を通じてかは別として、いちおう労使が合意に達した内容を文書にしたものが労働協約です。その労働協約は、労使にとって職場の憲法とも言われるもので、これに違反する就業規則や業務命令は許されません。労働に関する諸条件が新たに締結されますと、そこで協定された内容に反するこれまでの規程は無効となり、より改善された水準まで引き上げられます。

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